みなさんこんにちは。

そろそろ皆さんは地域予選に向けた政策を考え始めている頃かと思います。色々な文献を読んだり、各省庁のホームページで現在の政策や日本の未来について、各省庁がどのように考えているのかなどを調べているだろうと思います。実は私は過去の大会に参加していたのですが、そのときも、政策を考えていったような記憶があります。

ということで今回は、一度政策を考えてみた後に、またこれから政策を考えよう!というみなさまに、ご紹介したい内容として、『未来感』というものについて書いてみようと思います。

では最初に皆さんに質問です。

今、みなさんが考えている、思い描いている政策は現実的でしょうか?
そして、未来的でしょうか?

考えてみてください。
みなさんがお考えの政策は、上の問いの片方にしかYesをいうことができないものではないでしょうか?
行政のデータやインターン中に出会った方の話を参考にして政策を作ったチームは上の問いに、将来どういう日本に住みたいか、もしくは将来の日本がこんな風ならいいなという思いをもとにして政策を作ったチームは、下の問にYesということができるでしょう。

未来国会では、現実性を持ち、かつ若者らしい斬新さを兼ね備えた政策を求めています。
となると、現実的であり、未来的であるか、という上記の質問のどちらにもYesといえなければならないのです。

しかし、よく考えてみれば現実的かつ未来的って矛盾しているように感じてしまいますよね。
どうやったら、この矛盾しているように思える二つの要素を持つ政策を作れるのでしょう?

その答えは、『政策に未来感を持たせること』にあります。
以下ではそのことについてお話致します。

政策に『未来感』を持たせる方法をご紹介する前に、そもそも『未来感』とはなんなのかというお話をします。

『未来感』とは、「未来で起こりそうな感じがすること」です。
つまり、
「未来で発生するかはわからないけど、もしかしたら発生するかもしれない、発生しても不思議ではないという感じがすること」
をさします。

『未来感』と言うのは、現実性の対義語である、未来性よりも想像の色が強いものをさします。

さて、未来感を持たせるにはどのような工夫が必要なのでしょうか。その方法は、4つあります。

  1. 全く新しい概念を創造する。
  2. 既存の物の新しい組み合わせを考えて、新しい概念を創造する。
  3. 主観的な仮定をおいて未来を創造する。
  4. 客観的根拠から予想できる未来のさらに先の未来を創造する。

この4つのうちいずれかの方法を取れば、未来感を持たせることができます。
以下では順番に例を織り交ぜながら説明をしていきますね。

 

1. 全く新しい概念を創造する

思い浮かべる例としては、アップル社のスティーブジョブズがいい例かもしれません。
全く新しい機能やデザインを作った点はこれに当てはまリます。

私が思うに、これが一番難しい未来感の作り方だと思います。全く新しい概念を作るとなると、必然的に多くの知識が必要になります。事前の知識がないと、疑問や改善案は生まれません。また、私たちが「これは新しい政策だ!!」と思う政策のほとんどは、すでに実行されています。したがって、未来国会の政策でこのような方法を取るのは、とても難しいといえるかもしません。

 

2. 既存の物の新しい組み合わせを考える

この方法は、産業、学問、政治などいろいろな場面で用いられています。
イノベーションと呼ばれるものの多くは、新旧の組合せから生み出されているのです。この方法を別の言い方でいえば、『これまで存在してきたものに新しい使い方を与える方法』とでもいうことができるでしょう。例えば、これまではただのゴミだった「生ゴミ」を使ってエネルギーを起こすバイオマス発電(バイオエナジー)はこの例でしょう。
普段捨ててしまうような物を有効に活用した例は、多くあります。この方法は、身近なところにも用いることができます。未来国会の参加期間中にフィールドワーク等を行う中で、もしかしたら新たな組み合わせを発見できるかもしれません。

 

3. 主観的な仮定をおいて未来を創造する

これは、未来国会のような未来創造型コンテストだからこそできる思考方法です。
自分で仮定を設定する方法は、予測をしにくい事例に対する政策を考える際に適しています。例えば、10年後の学生がどれくらい起業したいと考えているか、のような人々の意識に関する問題です。

方法としては、まず、「30年後の日本はおそらくこのようになっているだろう。なぜなら、今こうなっているから。」という仮定を設定します。次に、「私たちが仮定するような日本になっているとするならば、”きっと”その時代の人はこのように考えている or その時代ではこのようなものが必要になっている。」ということを考えます。最後に、「そのような状況を解決するためには、◯◯のような政策が必要。」という結論に至ります。つまりこの方法は、現実に立脚した発想ということになります。

もう一度わかりやすい形で書くと、

  1. 現在の状況をもとに、30年後はこうなっているはずという仮定を設定する。
  2. 仮定に基づいた未来を創造する。
  3. 2で創造した未来の解決策となる政策を提案する。

 

実際に先ほどの若者の起業意識を例にとって考えてみましょう。

1. 仮定
「若者の起業家は減少している」

参考「中小企業白書 第3部第2章 起業・創業 ―新たな担い手の創出―

2. 創造する未来
若者の起業家が減っているということは、日本の経済は縮小して、海外に負けてしまっているのではないか?

3. 解決策は何か
「若者の起業家が増えない原因はなんだろう?」と考えます。
例えば、理由を「起業支援が不足しているから」としたとします。

 

「では、どうしたら起業支援は充実するのだろう?」と考えます。
失敗しても大丈夫な支援をすればいいのではないかと考えたなら、どうしたら失敗しても大丈夫になるのかと、問いに問いを重ねて掘り下げていきます。
そして最終的に形にしていくのです。

この方法は、なぜ?なぜ?と深めていくので、大変重厚な政策を作ることができます。
しかし、問題点としては、現実的になりすぎてしまって未来感を無くしてしまうこともあるということがあげられます。
理詰めばかりだと、未来感がなくなってしまうのですね。

そういう時は、仮定がどれだけ先の未来か問い直してください。
10年よりも近い未来であると思えば、もっと先の未来の想定に変更すれば良いのです。そうすれば、解決することも多いです。
もし、未来感がなくなってしまっていたら、この方法を試してみてください。

 

4. 客観的根拠から予想できる未来のさらに先の未来を創造する

これは文章の通りです。例えば、省庁や公的機関が出している将来予測のデータや民間企業が出している未来年表といったものを根拠にして、未来を予想するのです。

しかし、その際に注意しておかなくてはならないことが1点あります。
それは、そのデータを根拠にした政策を作ってしまうことです。
「◯◯年に△△起こる」という年表を見て、そのための政策を考えてしまうんですね。
それって斬新さありますか?ということですね。
最初に述べたように、斬新さがなければ若いみなさんが政策をつくる意義がありません。
私が、オススメするのは

「◯◯年に△△が起こる」だから、〜〜ということができるようになる。
そこで、私たちは××をするために、これをこんな新しい使い方をして使う

という考え方です。
「予測できる未来からさらに先の未来を予測する」という意味は、ここにあるのです。

予測されている未来だけでは物足りない。予測できるということは、もっと早く実現できるのです。30年前、これほどまでITが発展すると誰が予測できたでしょうか?これから30年後、人工知能が人間を超えるなんて信じられますか?でも、達成するかもしれないですよね。だって未来は加速度的に進むのですから。だからこそ、「未来の未来」を考えるのです。

 

このように、未来感の作りかたを見てきました。
未来感というと、ざっくりしていてわかりにくいですが、少し現実から離れてもいいんだと考えるといろいろなことができると思えませんか?

これから上がってくる皆さんの課題を楽しみにしています。

 

未来国会運営スタッフ
山本隼汰

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